金花茶を店のシンボルに。物件を借りる前に考えておきたいこと

金花茶を眺めながら紅茶を飲める店。その景色を、物件を選ぶための具体的な条件へと少しずつ落とし込んでいきます。

雪景色を望む紅茶店に、黄色い花を咲かせた大きな金花茶を置いた構想図

店内のシンボルのひとつとして、金花茶を置いたらどうだろうと考えてみました。窓の外は雪景色。木のテーブルと温かい照明のそばに、大きな鉢植えの金花茶があり、黄色い花を咲かせています。

これまではバラと水辺のある店や、食虫植物をたくさん並べた店を考えていました。金花茶も、その空間を印象づける植物の候補に加えたいと思います。

金花茶のある景色

金花茶は黄色い花を咲かせるツバキの仲間です。国立科学博物館の筑波実験植物園では、中国南部原産の常緑低木で、開花時期は1〜3月と紹介されています。筑波実験植物園「キンカチャ」

紅茶を飲んでいる途中で、ふと黄色い花に目が留まる。「これは何の花ですか」という会話が生まれる。植物の名前をひとつ知ったことで、次に訪れたときには葉やつぼみにも目が向く。そんな時間を想像しています。

「おいしい紅茶を知ることで、日々の暮らしを少し豊かにする」という創業理念に、植物を知る楽しさも重なりそうです。

ただ、画像のように大きく育ち、花がたくさん咲く姿を、そのまま店内で実現できると決まったわけではありません。実際の導入に向けては、必要な光、冬の温度、空調の風、鉢の大きさや手入れの方法を調べ、自分で育てながら確かめたいところです。花のない季節にも、その場所に置きたいと思えるかも考えておきます。

物件を先に借りると、何が起こるのか

スケルトン状態の店舗内装のイメージ

店舗コンセプトやメニュー開発より先に物件の賃貸契約を結んでしまい、後から計画との食い違いに気づく。そうした失敗について考えておきたいと思います。

例えばこんなパターンです。

  • 猫を配置すべくペット可の物件を確保したが、店舗コンセプト検討の段階で猫を置くことを断念した
  • 店内でカジノゲームを楽しめるカフェバーを目指して物件を確保したが、立地の問題で風営法5号営業の許可が下りなかった
  • 飲食店用の物件を確保したがリフォーム資金が枯渇し、クラウドファンディングを開始するも失敗

自分の準備に生かすために、「店の条件が定まる前に賃貸契約を結んだ場合、どこで判断が難しくなるのか」という仮説として考えます。

魅力的な建物を見つけると、そこで営業している自分を想像しやすくなります。家賃や庭の雰囲気に惹かれ、「ここなら何かできる」と感じることもあるでしょう。しかし、その時点では、誰が、どんな目的で、どのくらいの頻度で来てくれるのかが、まだ曖昧かもしれません。

物件を借りた後では、広さも場所も簡単には変えられません。すると、来てほしいお客さんに合う場所を探す代わりに、借りた場所に来てくれそうなお客さんを探すことになります。客席、メニュー、営業時間まで、物件の制約に合わせて決めることになりかねません。

日本政策金融公庫の飲食業向けの創業手引でも、コンセプトに合う物件選びの重要性が説明されています。立地や階数の評価も、目指す店のあり方と合わせて考える必要があります。日本政策金融公庫「創業の手引+(飲食版)」

店が約束する体験と、実際の営業をそろえる

開業目前のカフェの内装イメージ

物件との相性を考える前に、その店が何を楽しみに来てもらう場所なのかを、言葉にしておく必要があります。

店の名前や写真を見て期待した体験が、実際に訪れたときにも得られるか。自分の店なら、植物を眺めながら紅茶の違いを楽しめると伝えたのに、鉢が見えにくかったり、落ち着いて飲めなかったりすれば、期待とのずれが生まれます。金花茶の写真を使うときも、花を楽しめる季節と、普段の店の姿をきちんと伝えたいところです。

次に、その体験のために足を運んでもらえる立地か。近所で日常的に使う店と、時間をかけて訪れる店では、来店の理由も頻度も変わります。自分が好きな街や建物であることに加えて、想定するお客さんが実際に来られるかを確かめたいです。

そして、メニューと営業の仕組みが、その体験を支えられるか。目を引く商品を作れても、材料、提供にかかる手間、食器や収納、滞在時間まで含めて続けられる形になっているかは、別に検討が必要です。紅茶を丁寧に説明したいなら、その時間を取れる接客と価格の組み合わせを考える必要があります。

これらは、特定の店の失敗原因を決めつけるための基準ではありません。自分が物件や内装に夢中になったときに、店全体のつながりを見失わないための確認事項です。

借りた物件を正解にしたくなる

カフェ居抜き物件の内装イメージ

もうひとつ気になるのは、賃貸契約を結んだ後の判断です。

たとえば、静かに紅茶と植物を楽しんでもらいたいのに、内装工事や設備の導入に想定以上のお金が必要になったらどうなるでしょう。準備が長引き、開業前の家賃負担が膨らむことも考えられます。支出を賄うために席数や回転を増やしたくなり、鉢を置く余白や、ゆっくり飲む時間を削る方向へ進むかもしれません。

ここで起きているのは、見た目の変更だけではありません。物件にかかるお金が、お客さんに提供する体験まで変えてしまうということです。

さらに、「もう契約してしまった」「ここまで改装した」という気持ちが強くなるほど、計画の見直しが難しくなりそうです。これまで使ったお金を取り戻したい気持ちと、これから追加するお金に見合う見込みがあるかは、分けて考えておきたいと思います。

月々の家賃だけを見て手頃だと判断せず、契約時の初期費用、内装、設備、開業までの家賃、開業後の運転資金まで含めて考える。退去するときの費用や条件も、契約前に確認しておきたいところです。そして、売上が想定を下回った場合に、どこまで続けられるのかも先に確認する。自分が物件を見るときには、この順番を忘れないようにしたいです。

金花茶から、店に必要な条件を考える

今回の金花茶も、物件を選ぶ前に考えておく意味がありそうです。

大きな鉢を置くなら、その面積だけでなく、枝の広がりや手入れのための余白が必要になります。座ったときに花が見える位置と、配膳や通行の邪魔にならない位置を両立できるか。水やりや落ちた花の掃除を、日々の営業の中で続けられるか。窓辺が明るくても、植物に合う環境かどうかは別に確かめる必要があります。

こうして考えると、「植物がたくさんある紅茶店」というイメージが、客席や通路、採光、管理の条件に変わっていきます。条件があれば、気に入った物件を見つけたときにも、どこが合い、どこに無理があるのかを比べられます。

今のうちに、次のことを少しずつ具体化しておきたいと思います。

  • どんな人に、どんな時間を過ごしてもらいたいか。
  • 紅茶と植物を楽しむ体験に、どんなメニューや接客が必要か。
  • 客席、植物、作業場所に、それぞれどれくらいの空間が必要か。
  • その店を続けるために、どれくらいの売上と資金の余裕が必要か。
  • 物件を見送る条件と、計画を見直す条件は何か。

金花茶を置きたいという気持ちを出発点に、まずは育てられるか、営業と両立できるかを試してみる。紅茶を提供する体験も、小さく試しながら条件を確かめる。その積み重ねを持った上で物件を選定する必要があると学びました。

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