キング・ジョージ4世
淡い桃色の花を待っていた苗が、深い紅色の花を咲かせました。島忠で突然格安販売されていた苗から咲いた、キング・ジョージ4世です。
今回紹介するのは、ラベルとはまったく違う花を咲かせたキング・ジョージ4世です。

写真は、2026年5月6日に撮影したものです。
赤紫をたっぷり含んだ、深い紅色の花。整いすぎない八重の花びらが重なり、咲き進むにつれてところどころに淡い色がのぞきます。細くしなやかな枝の先にいくつもの花がつき、株全体が華やかになりました。
キング・ジョージ4世は、1820年にイギリスのリヴァーズによって世に出された古いバラです。資料によってブルボン系に含められることもありますが、ハイブリッド・チャイナとして扱われることの多い品種です。200年以上前のバラが、今もこうして同じ名で残っていることに驚かされます。
花は一季咲きです。春にだけ咲くぶん、濃い花色とオールドローズらしい香りを一度に楽しませてくれます。樹形はやわらかな木立性で、細い枝が自然に広がります。
「マダム・エルンスト・カルバ」ではなかった
この苗を見つけたのは島忠です。「マダム・エルンスト・カルバ」のラベルが付いたまま、格安で販売されていました。
マダム・エルンスト・カルバなら、咲くのは淡いピンクの大輪です。ところが実際に開いた花は、写真のとおりの深紅。花色も株の姿もラベルとは違い、育ったのはキング・ジョージ4世でした。
島忠はときどき、このように、めったに手に入らない銘花を突然格安で売り出すという、意味のわからないことを平然とやります。この苗も処分品だったわけではなく、そうして唐突に売られていたもののひとつです。
買ったときは、もちろんラベルどおりの花を思い描いていました。けれど、咲いて初めて名前が違うとわかるのも、植物ならではの出来事です。期待していたバラではなかった代わりに、自分では選ばなかったかもしれない古い品種と出会えました。
200年前の深紅
派手な巨大輪ではありません。それでも、少し紫を帯びる深紅と、ゆるくほどける花びらには、現代のバラとは違う存在感があります。新しく伸びた葉が赤みを帯びているところも、花色によく似合います。
この庭では夏の暑さにも十分耐え、冬にも枝枯れはありませんでした。耐暑性、耐寒性ともに強いと感じています。耐陰性は普通程度です。
まずは、島忠で突然格安で売られていた苗が、春にはこれほどたくさんの花を咲かせたことを記録しておきます。ラベル違いから始まったキング・ジョージ4世。思いがけず庭に加わった、200年前の深紅のバラです。