コント・ドゥ・シャンボール

花びらをぎっしりと重ね、濃いピンクの花を咲かせるコント・ドゥ・シャンボール。春から初夏にかけて断続的に咲き、秋にも花を見せるポートランド系のオールドローズです。

今回紹介するのは、濃いピンクの花と強い香りが印象的なコント・ドゥ・シャンボールです。

庭で咲くコント・ドゥ・シャンボール

写真は、2026年5月7日に撮影したものです。

濃いピンクの花びらが幾重にも重なり、中心までぎっしりと詰まっています。外側の花びらは少し淡く、内側へ向かうほど鮮やかになる色の重なりもきれいです。ひとつの枝先に蕾と開いた花が集まり、房になって咲いていました。

コント・ドゥ・シャンボールは、1860年頃にフランスのモロー=ロベールによって作出されたとされるポートランド系のオールドローズです。資料によって発表年の記載には多少の違いがありますが、19世紀から残る古い品種であることに変わりはありません。

ポートランド系らしく、花のすぐ下まで葉がつき、花茎があまり長く伸びません。株は直立気味にまとまり、大きく暴れるつるバラとは違う、扱いやすい姿に育ちます。

花びらと香りをたっぷり楽しめる

このバラの魅力は、何といっても花びらの多さです。整然と並ぶというより、やわらかな花びらが内側へ折り重なり、咲くたびに少しずつ違う表情を見せます。写真の花も、きっちりとした左右対称ではなく、その崩れ方まで含めてオールドローズらしい姿です。

香りも強く、ダマスク系の甘い香りをはっきりと感じます。花へ顔を近づけなくても存在に気づくほどで、庭で咲かせる楽しさを花姿だけでなく香りでも伝えてくれるバラです。

この庭では、5月の一番花が終わったあとも、6月下旬頃までぽつぽつと花が続きます。そこで終わるわけではなく、秋にもまた特別珍しくないくらい普通に咲きます。「春に咲き、条件がよければ少し返り咲く」というより、春から初夏と秋に繰り返して花を見るバラ、と記録するほうが実際の姿に近そうです。

管理は木立性現代バラと同じ

古い品種だからといって、剪定を特別に難しく考える必要はなさそうです。この庭では四季咲きの現代バラと同じように、ガンガン切っています。それでも問題なく枝を伸ばし、春から初夏、秋と花を咲かせます。

病気にかかった姿は、これまで見たことがありません。少なくともこの庭では、病気を心配して手をかけることのない、丈夫なバラです。

一方で、チュウレンジハバチの幼虫にはわりと好まれる印象があります。病気よりも、葉に並んだ幼虫と食害の跡を見つけることのほうが多く、育てるうえで気にしているのはこの虫くらいです。

昨今は、5月からすでに暑いことが栽培上のネックです。株が暑さに弱いというより、薄い花びらが強い日差しと高温に耐えられません。きれいに開いたと思っても、あっという間に水分を失い、干物のようになってしまいます。花を長く楽しむには、病気や剪定よりも、開花期の暑さのほうが気になります。

濃いピンクのオールドローズ

華やかな色とたっぷりの花びらを持ちながら、現代の大輪バラとは違う、どこか素朴な雰囲気があります。丸い蕾が少しずつほどけ、深いカップからロゼット状へ開いていく変化も見どころです。

名前は、19世紀フランス王家のアンリ・ダルトワ、シャンボール伯にちなみます。作出から160年以上を経た今も各地で育てられているのは、花、香り、繰り返し咲く性質という魅力がひとつの株にそろっているからなのでしょう。

2001年春の国華園カタログ

この品種を初めて知ったのは、2001年春の国華園のカタログでした。

当時はイングリッシュローズが非常に流行していました。一方、オールドローズは一季咲きが当たり前という印象が強かった時代です。そんななか、正真正銘のオールドローズでありながら「四季咲き」として紹介されていたコント・ドゥ・シャンボールは、ひときわ気になる存在でした。

ただし、国華園のカタログでは単品ではなく、フェルディナンド・ピシャール、バフ・ビューティーと組み合わせた、3品種各1株のセットで販売されていました。

今になって思えば、これを「オールドローズ3種」としてよかったのか、少し疑問の残る組み合わせでもあります。フェルディナンド・ピシャールは1921年作出のハイブリッド・パーペチュアル、バフ・ビューティーは1939年発表のハイブリッド・ムスクです。どちらも古いバラとして紹介されることはありますが、19世紀半ばのコント・ドゥ・シャンボールと同じ意味でのオールドローズかというと、かなり雑な括り方だったように思います。

その頃からずっと気になっていた品種が、今は庭で花を咲かせています。カタログで名前を見てから四半世紀。写真に残した2026年春の花は、長いあいだ気になっていたバラをようやく自分の庭で見ることができた、その記録でもあります。

鮮やかなピンクと濃厚な香り、そして春から初夏、秋へと繰り返し咲く姿。新しいバラが注目を集めていた時代にも気になった古いバラは、実際に育ててみても、やはり忘れがたい品種でした。

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