保険の見直しは、まず保険証券をすべて集めることから
保険の見直しは、保険証券をすべて集めることが重要です。家族全員の保険証券と収入がわかる書類をそろえたら、見直しは8割成功です。
保険の見直しというと、保険料を安くすることや、新しい商品へ乗り換えることを思い浮かべるかもしれません。
しかし、本来の目的はそこではありません。
保険の見直しとは、現在の生活に対して、保障が多すぎないか、少なすぎないかを確認し直すことです。商品を比較する前に、現在加入している保険と家計の状況を把握し、必要保障額を計算する必要があります。
家の中にある保険証券を全部集める
保険の見直しで最も重要なのは、家の中にある保険証券をすべて集めることです。これができれば、見直しは8割成功したと言ってよいでしょう。
超重要
保険の見直しが本当に必要な人ほど、自分がどの保険に入っているのか、保険証券が家のどこにあるのかを把握していないことが大半です。だからこそ、最初にやるべきことは商品を探すことではなく、まず家の中にある保険証券を全部かき集めることです。
生命保険、医療保険、がん保険、就業不能保険、個人年金保険など、加入している保険の書類を一か所に集めます。保険証券が見当たらなければ、保険会社から届いた契約内容のお知らせや、契約者向けWebサイトを確認します。
保険代理店へ相談する場合は、見直したい保険だけでなく、集めた保険証券をすべて持参してください。一部の契約だけでは、保障の重複や不足を正しく判断できません。
確認するのは、主に次の項目です。
- 保険の種類
- 保険金・給付金の金額
- 保障期間
- 保険料払込期間
- 毎月または毎年の保険料
- 特約の内容
- 更新の有無と更新時期
複数の保険に加入していると、同じ保障が重複していることがあります。反対に、保険に入っているつもりでも、必要な保障が含まれていないこともあります。
まずは、自分が現在どのような保障を持っているのかを明らかにします。
収入・支出・資産を確認する
次に、源泉徴収票、給与明細、確定申告書など、収入を確認できる書類を用意します。
保険証券だけでなく、これらの収入書類も保険代理店へ持参します。共働きであれば、配偶者の収入がわかる書類も必要です。
現在の収入が分からなければ、病気やけがで働けなくなった場合や、死亡した場合に、家計でいくら不足するのかを計算できません。つまり、必要保障額を求められません。
NOTE
保険の目的はリスクヘッジであり、まず必要保障額がいくらなのかを把握することが重要です。
あわせて、毎月の生活費、住宅費、教育費、ローンの返済額、預貯金や投資資産なども確認します。配偶者に収入がある場合は、その金額も必要です。
保険は、発生した損失のすべてを埋めるためのものではありません。預貯金や毎月の収入で対応できる部分まで、保険で備える必要はありません。
家計や資産では受け止めきれない損失を、保険に任せます。
公的保障と勤務先の制度を確認する
民間の保険を考える前に、公的保障と勤務先の制度を確認します。
病気やけがで働けなくなった場合には、健康保険の傷病手当金や障害年金があります。死亡した場合には遺族年金、医療費が高額になった場合には高額療養費制度を利用できる可能性があります。
勤務先によっては、次のような制度も用意されています。
- 休職中の給与補償
- 傷病見舞金
- 団体保険
- 死亡退職金や弔慰金
- 企業年金
- 医療費の補助
必要保障額は、将来必要となる金額そのものではありません。そこから公的保障、勤務先の保障、配偶者の収入、預貯金などを差し引いた残りが、民間保険で備えるべき金額です。
必要保障額を計算する
就業不能保険やがん保険の記事でも繰り返し述べたとおり、重要なのは「どの商品に入るか」ではなく、「いくらの保障が必要か」です。
必要保障額は、次の考え方で求めます。
必要となる支出
- 公的保障
- 勤務先から受け取れるお金
- 配偶者などの収入
- 預貯金などの資産
= 民間保険で備える必要保障額
たとえば、働けなくなった場合に毎月30万円の生活費が必要でも、就業不能保険で30万円全額を受け取る必要があるとは限りません。傷病手当金や勤務先からの給与、配偶者の収入があれば、その分を差し引きます。
死亡保障も同じです。遺族の生活費、教育費、住居費などから、遺族年金、配偶者の収入、預貯金、死亡退職金などを差し引いて考えます。
この計算をせずに加入すると、保障が不足したり、必要以上の保険料を払い続けたりすることになります。
現在の保障と比較する
必要保障額を計算したら、集めた保険証券の内容と比較します。
保障が不足していれば、保険金額の増額や新たな保険への加入を検討します。勤務先の団体保険を利用できないかも確認します。
保障が過剰であれば、保険金額の減額、不要な特約の削除、一部解約などを検討します。同じような保障を複数契約している場合は、それぞれの役割を確認します。
ただし、古い保険をすぐに解約してはいけません。過去に加入した保険には、現在では契約できない有利な条件が含まれていることがあります。
NOTE
古い保険には有利な契約もある一方、入院5日目からしか給付されないなど、昨今の医療事情に合わない保障が残っていることもあります。
新しい保険へ乗り換える場合も、必ず新契約が成立してから古い保険を解約します。先に解約すると、健康状態などを理由に新しい保険へ加入できなかった場合、保障がなくなってしまいます。
保険を見直すタイミング
結婚や出産は、保険を見直す代表的なタイミングとしてよく知られています。
このほか、次のような変化があった場合にも見直しが必要です。
- 就職、転職、昇進、退職
- 収入の増減
- 独立や開業
- 住宅の購入や住宅ローンの完済
- 子どもの誕生や独立
- 配偶者の就職や退職
- 預貯金の増加
- 勤務先の福利厚生の変更
特に見落とされやすいのが、転職や昇進によって収入が増えた場合です。
収入が増えれば、生活水準や支出、将来の貯蓄計画が変わります。働けなくなったときに失われる収入も大きくなります。
一方、貯蓄が増えれば、保険に頼らず自分の資産で対応できる範囲も広がります。収入が増えたから保障額も増やすのではなく、必要保障額を改めて計算することが重要です。
まとめ
保険の見直しとは、保険料の安い商品を探すことでも、新商品へ乗り換えることでもありません。
保険の見直しでやるべきことは以下のとおりです。
- 家の中にある保険証券をすべて集める
- 収入、支出、資産、公的保障、勤務先の制度を確認する
- 必要保障額を計算し、現在の保障と比較する
- 不足していれば追加し、過剰であれば減らす
家族構成だけでなく、収入や資産、勤務先の制度が変わったときにも、必要保障額を計算し直します。これが保険の見直しの基本です。