雇用調整助成金のツケが回ってきたわけだが

戦国武将のインバスケット今回の転職にあたり、自社が如何に「長期的戦略」のある会社経営ができていなかったかを思い知らされた。

以下、ほぼ内部告発。

自分が入社したのは2009年(平成21年)。ちょうど世界金融危機のド真ん中で、その年の8月には従業員の5分の1が社内待機という異様な状態となっていた。その後、2009年の11月から2010年3月にかけて、年度末の駆け込み需要で一時的に受注は増えたものの、4月には再度同じような状態に戻ってしまった。

これだけ多くの従業員が社内待機に回された理由の一つに「雇用調整助成金」がある。これは、社内待機期間に教育訓練を受講した従業員の賃金相当額の3分の2を国が支給するというものである。

景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業、教育訓練又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成します。 雇用を守るためには 雇用調整助成金|厚生労働省

この制度には制約事項がいくつかあり、中でも「1分でも仕事をしたら教育訓練は無効(=助成金が支給されない)」という制約が教育訓練の内容を大きく制限するものとなっている。このため、教育訓練の内容は「Java開発の基礎」とか「COBOL開発の基礎」とか、まるでIT企業とは思えないような初歩的でつまらないものが大半となる。これも4か月も続けていたらついに精神を病んでしまった。日本橋メンタルクリニックにはずいぶんと世話になった。

また、仕事に関する情報もかなり制限されていた。途中から月に一度のメンバ会すら開催されなくなり、他部署の情報がまったく入ってこなくなった。メンバ会が業務の一環に該当する(=助成金が支給されない)恐れがあって自粛していたというよりは、社内待機に回された従業員が多すぎて会議室に入り切らなくなったというのが一番の理由かも知れないが。メールマガジンでも流してくれりゃ良かったのに。

こんな状況下で、半年間ほぼ何もしない日常が続いた。教育訓練の内容もクソなので、一週間もあれば全部理解できてしまい、残り3週間が暇で暇で仕方ない。情報が制限されていたがために情報収集が上手くなったのが唯一の収穫だろうか。配布文書、顧客報告の議事録、是正処置票、部長がうっかり変なところに保存した部門間会議の議事録など、閲覧できる情報は手当たり次第に漁った。それはもう、「チームリーダーより詳しいってどういうこと」とあきれられるくらいに。

しかし、社内待機が長くなるとタダでは済まない。会社都合で社内待機に回されているにもかかわらず、上の人たちからは「仕事ができない奴」という扱いを受ける。こうなってしまうと悪循環で、社内待機が長くなればなるほど扱いが悪くなる。人事から呼び出されて何事かと思えば、「仕事ができない奴」に対するお小言だったりするわけで。不景気だと人事も暇だねー。

この社内待機の結果、2009〜2010年の間に入社した従業員は全体的に業務経験が乏しいために技術力が低くなっている。また、技術力が高かったとしても他社へ転職しようとする動きが相次いでいる。優秀な若手が次々と辞めていく。仲の良かった同期や後輩もずいぶん辞めてしまった。景気が回復して受注こそ増えているらしいが、そこに当てるべき要員がいない。

今回の退職に関しても副部長から全力で止められており、これから何度も面談を繰り返さなければ退職の手続きすらできない。次の面談では部長が出てくるようだが。正直言って、社内待機で酷い仕打ちを受けたことは根に持っているし、昇給とまったく縁がなかったことで生活もかなり切迫してきている。この状況下で退職を止めさせるために一体何ができるのだろう。働きながら飢え死にするのも一興か。

国からお金がもらえるということで雇用調整助成金に飛びついてしまったわけだが、結果的に会社としては大損をしてしまっている。「今後景気が良くなったときのために今できることは何か」を考えられる経営陣が自社にいなかったことは残念でならない。「どんなに赤字になってでも現場で業務を経験させるべきだった。今後このような社内待機は二度としない。」という言葉こそ頂いたが、後悔先に立たず。


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